求人サイトで条件を絞り込もうとすると、「施設形態」の欄に選択肢がずらりと並びます。認可保育園、認可外保育施設、小規模保育、企業主導型、企業内保育、院内保育、学童保育。どこにチェックを入れればいいのか分からず、結局すべてを選んだまま何百件もの求人を眺め、そのまま画面を閉じてしまう。そんな夜を過ごした人もいるはずです。
職場タイプの名前が多いのは、保育士が働ける場所が広がってきた証拠でもあります。ただ、名前だけを見て選ぶと、「小規模なら人間関係が楽そう」「公立なら安定していそう」といったイメージに引っぱられがちです。実際には、同じ名前のタイプでも、運営している法人や園の規模によって働き方は大きく変わります。
この記事では、保育士の主な転職先の種類を4つの軸で整理し、一覧で比べられるようにしました。さらに、今の職場の不満から「どの軸を変えればいいか」を逆算する方法と、候補を絞って見学に行くまでの手順を紹介します。どのタイプが正解かを決めるためではなく、あなたにとっての優先順位を決める材料として使ってください。
この記事でわかること
- 保育士の主な転職先8種類の特徴を、一覧で比べる方法
- 職場タイプを「制度・運営・規模・場所」の4つの軸で分ける考え方
- 今の不満から、変えるべき軸を逆算するやり方
- 候補を2〜3タイプに絞ってから見学・応募するまでの進め方
結論
保育士の職場タイプは、「制度(認可か認可外か)」「運営(公立・私立・企業)」「規模(大規模か小規模か)」「場所と対象(保育園か、保育園以外か)」の4つの軸の組み合わせで考えると選びやすくなります。選ぶときは、まず今の職場でいちばんつらいことを一つに絞り、それが変わる軸を優先します。たとえば人間関係の悩みなら規模と運営、時間の悩みなら場所と運営の軸が効きやすくなります。ただし、タイプはあくまで傾向です。同じタイプでも園ごとの差は大きいため、候補を2〜3タイプに絞ったら、見学と面接で実際の働き方を確かめてください。
01保育士の転職先は「4つの軸」で分けると見えてくる
要点:職場タイプの名前はたくさんありますが、制度・運営・規模・場所の4つの軸に分けると、ほとんどの職場はその組み合わせで説明できます。名前ではなく軸で見ると、比べる基準がそろいます。
保育所等の数は、2026年4月1日時点で全国に40,046か所あります[1]。これに加えて、認可外の保育施設、学童保育、障害のある子どもの通所支援など、保育士の資格や経験が活きる場所はさらに広がっています。数が多いからこそ、一つひとつの名前を覚えるより、働き方の違いを生み出している「軸」を知っておくほうが役に立ちます。
図1
- 1
制度
自治体の認可を受けた保育所か、認可外の保育施設か。職員配置の基準や、運営費の仕組みが変わります
- 2
運営
自治体(公立)、社会福祉法人や株式会社(私立)、一般の企業や病院。採用・給料・異動の決まり方が変わります
- 3
規模
子どもの定員と職員の数。人間関係の距離、担当の幅、行事の大きさが変わります
- 4
場所と対象
保育園か、学童・療育・病院・家庭などか。関わる子どもの年齢と、1日の時間の流れが変わります
たとえば企業主導型保育園は、制度の軸では認可保育所とは別の枠組み、運営の軸では企業、規模の軸では少人数から中規模が多いタイプ、と分解できます。公立の大きな園なら、制度は認可、運営は自治体、規模は大きい、という組み合わせです。こうして分けてみると、気になるタイプの「何に」惹かれているのかを、自分の言葉で説明しやすくなります。
軸ごとに、変わるものが違う
4つの軸は、それぞれ働き方の別の部分に影響します。制度は「最低限守られる基準」、運営は「お金と人事の仕組み」、規模は「人との距離」、場所は「子どもの年齢と時間帯」に関わります。今の職場で変えたいものがどれに近いかを意識しながら、次の一覧を見てください。軸を一つ変えるだけで十分な人もいれば、二つ以上変えないと悩みが解決しない人もいます。
02主な職場タイプ8種類を一覧で比べる
要点:保育士の主な転職先は、私立の認可保育園、公立保育園、小規模保育園、大規模保育園、企業主導型保育園、企業内保育園、院内保育園、認可外保育施設の8つに整理できます。それぞれの傾向を、4つの軸に沿って並べました。
図2
| タイプ | 制度と運営 | 規模の傾向 | 働き方の傾向 |
|---|---|---|---|
| 私立の認可保育園 | 認可。社会福祉法人や株式会社などが運営 | 中規模から大規模まで幅広い | 法人ごとに給与規程や保育方針が違う。求人の数が多い |
| 公立保育園 | 認可。自治体が運営 | 中規模から大規模が多い | 正規職員は採用試験を経て採用。自治体内の園へ異動がある |
| 小規模保育園 | 認可。A型・B型・C型がある | 少人数。乳児が中心 | 職員が少なく、一人が担う役割の幅が広い |
| 大規模保育園 | 認可が中心。公立・私立どちらもある | 定員が100名を超える園もある | 職員が多く、分担や研修の仕組みが整いやすい |
| 企業主導型保育園 | 国の助成を受けて企業が設置 | 少人数から中規模 | 開所日や時間が設置企業の働き方に合わせられやすい |
| 企業内保育園 | 企業が従業員のために設ける | 少人数が多い | 平日の日中中心の勤務が多い。運営の委託も多い |
| 院内保育園 | 病院が職員のために設ける | 少人数が多い | 早朝・夜間・土日の勤務や、夜勤がある施設もある |
| 認可外保育施設 | 認可外。設置の届出が必要 | 施設によって大きく違う | 給料や方針の幅が広い。基準の確認が欠かせない |
制度:認可か認可外かで、最低限の基準が変わる
認可の保育所には保育士の配置の最低基準があり、たとえば1〜2歳児はおおむね6人につき1人以上、4歳以上児はおおむね25人につき1人以上とされています[2]。認可外の保育施設は、事業を始めてから1か月以内に都道府県知事へ届け出ることになっており[3]、1日に6人以上を保育する施設では、保育に従事する人のおおむね3分の1以上が保育士か看護師であることが指導監督の基準です[4]。基準の違いが働き方にどう表れるかは、認可保育園と認可外保育施設の違いと選び方で詳しく整理しています。
運営:公立か私立か企業かで、お金と人事の仕組みが変わる
公立の正規職員は自治体の職員として採用され、給料も自治体のルールに沿って決まります。私立の認可保育園は、国が定める公定価格と処遇改善等加算をもとに、運営する法人が給与規程で配分します[5]。企業主導型保育は国の助成を受けて企業が設置する保育施設で、令和5年度に助成が決定したのは4,423施設でした[6]。運営の違いが採用や異動にどう出るかは、公立保育園と私立保育園の比較が参考になります。
規模:人との距離と、役割の幅が変わる
小規模保育には、保育士を配置するA型、保育従事者の半数以上を保育士とするB型、利用定員6〜10人のC型があり、A型とB型は保育所の基準より1人多く配置することになっています[7]。少人数の職場は関係が近く、一人ひとりの役割が広くなります。大きな園は人が多い分、相談相手を選べる反面、情報共有に手間がかかります。少人数の職場が自分に合うかは、小規模保育園に向いている人の特徴で確かめられます。
場所と対象:子どもの年齢と、時間帯が変わる
企業内保育や院内保育は、母体の企業や病院で働く人の子どもを預かるため、開所日や時間が母体の勤務に合わせて決まります。平日の日中に働きたい人にとって、企業内保育は有力な候補です。働き方の詳しい中身は企業内保育園の働き方とメリットにまとめています。保育園以外にも、学童保育、児童発達支援、放課後等デイサービス、病児保育など、保育士の経験が活きる場所があります。全体の一覧は保育園以外で保育士が働ける場所を見てください。
03今の不満から、変えるべき軸を逆算する
要点:職場タイプは「どこに行きたいか」より「何を変えたいか」から選ぶと、失敗しにくくなります。今いちばんつらいことを一つに絞り、それが変わる軸を優先してください。
転職先を探し始めると、つい「良さそうなタイプ」を探したくなります。けれども、今の不満と関係のない軸を変えても、同じ悩みが次の職場で繰り返されることがあります。人間関係に疲れて公立から私立へ移ったのに、規模も雰囲気も似た園を選んだため、職員室の空気がほとんど変わらなかった。そんな話は珍しくありません。
現場の保育士が職場に何を求めているかは、公的な調査からも見えてきます。東京都が保育士を対象に行った調査では、今の職場で改善を希望する項目の上位は、給与・賞与等の改善、職員数の増員、事務・雑務の軽減でした[8]。
図3
現在の職場で改善を希望する項目(東京都保育士実態調査〔令和4年度〕・複数回答の上位5項目)[8]
この5つは、どれも職場タイプの選び方と結びついています。次の図は、悩みの種類ごとに「効きやすい軸」をまとめたものです。自分の悩みに近いマスを一つ選んでから、もう一度一覧に戻ってみてください。
図4
人間関係
規模を変えると、職員の数と距離が変わります。運営を変えると、異動の有無や職員の年齢構成が変わります
規模・運営
仕事量・書類・行事
行事の数や書類の量は、場所と運営の方針で大きく違います。企業内や院内は行事が少なめの傾向です
場所・運営
給料・賞与
給料の決まり方は運営と制度で変わります。タイプより、法人ごとの規程と支給の実績で差がつきます
運営・制度
時間・家庭との両立
開所時間と休日は、場所の軸の影響が大きくなります。母体の企業や病院の勤務に合わせて決まる職場もあります
場所
給料のように、タイプだけでは決まらない悩みもあります。「公立は高い」「企業主導型は安い」と一括りにはできず、同じタイプの中の差のほうが大きいことも少なくありません。給料が最優先なら、タイプを決めたあとに、昇給と賞与の実績を園ごとに確かめる段階が欠かせません。
書き出しの例:「行事がつらい」を軸に分けてみる
たとえば「運動会と発表会の準備で、毎年秋は持ち帰りが週4日になる」という悩みがあるとします。この悩みは、規模の軸(大きな園ほど行事も大がかりになりやすい)と、運営の軸(行事を減らす方針の法人もある)の両方に関係しています。一方で、子どもの年齢や、認可かどうかとはあまり関係がありません。こう分けると、「幼児クラスのままで、行事の考え方が違う園を探す」という具体的な方向が見えてきます。悩みを一文で書き、関係する軸に丸をつけるだけでも、探し方はずいぶん変わります。
04自分に合う施設を見つける3つの質問
要点:「どの年齢の子どもと」「何人くらいの職員と」「どの時間帯に」働きたいかを順に答えると、候補のタイプは2〜3つまで絞れます。答えに詰まる質問があれば、そこが迷いの中心です。
図5
次の職場で、いちばん大切にしたいことは?
- 乳児とじっくり関わりたい小規模保育園、企業内保育園、院内保育園など、少人数で一人ひとりを見られる職場が候補です
- 幼児クラスの保育や行事を深めたい中規模から大規模の認可保育園。公立か私立かは、異動や方針の違いで選びます
- 土日休みや決まった時間で働きたい企業内保育園や企業主導型保育園。母体の営業日を求人で確かめます
- 人に頼れる環境で経験を積みたい大規模保育園。複数担任や研修の仕組みがある園が候補になります
- 勤務時間を減らして長く続けたい公立や私立の非常勤・パート、企業内保育園など、時間を選べる働き方が候補です
- 保育園の毎日から少し離れたい学童保育、児童発達支援、病児保育など、保育園以外の職場が候補です
質問1:どの年齢の子どもと関わりたいか
0〜2歳の乳児とじっくり関わりたいのか、3〜5歳の幼児クラスで行事や遊びを深めたいのか、小学生以上の子どもと関わりたいのか。ここが決まると、場所の軸がほぼ決まります。「今の担当クラスがつらい」のか「保育園という場所がつらい」のかを分けて考えると、答えやすくなります。
質問2:何人くらいの職員と働きたいか
職員が5人前後の職場と、40人を超える職場では、毎日の人間関係がまったく違います。何でも話し合える少人数が合う人もいれば、ほどよい距離を保てる大人数のほうが楽な人もいます。今までの職場で、どの人数のときにいちばん楽に働けたかを思い出してみてください。
質問3:どの時間帯・曜日に働きたいか
早番7時・遅番19時のシフトを続けられるか、土曜出勤はどこまで受け入れられるか、夜勤があってもよいか。家庭の事情や体力によって、答えは数年ごとに変わります。今の答えだけでなく、3年後の生活も思い浮かべておくと、選んだあとに慌てずに済みます。
05相談事例:8つのタイプから、2つに絞ったひでこさん
要点:ここでは、職場タイプを4つの軸で整理したことで、探す範囲がはっきりしたモデルケースを紹介します。「タイプを変える」より「軸を一つだけ変える」ことで解決した例です。
変えたかったのは「場所」ではなく「時間」だった
相談事例(モデルケース)
- お名前
- ひでこさん(仮名)・52歳
- 保育士歴
- 28年目(相談当時)
- 勤務先
- 私立の認可保育園(定員約120名)、5歳児クラス担任
- 暮らし
- 夫と二人暮らし。近くに住む母の通院の付き添いが始まったところ
- 変化
- 1週間の勤務時間 約45時間 → 約24時間、候補にしていた職場タイプ 8つ → 2つ
編集部相談に来られたとき、どんな状況でしたか。
母の通院に付き添う日が月に4回くらいになって、今の勤務では回らなくなっていました。もう保育の仕事は無理かなと思って、ベビーシッターとか事務の求人まで見ていたんです。施設形態のチェックも全部入れて、毎晩スマホを眺めては閉じる、の繰り返しでした。
編集部4つの軸で書き出してみて、何が分かりましたか。
変えたいのは「時間」だけだったんです。子どもの年齢も、認可の園で保育することも、本当は変えたくなかった。書き出したら一目で分かって、自分でも笑ってしまいました。28年やってきて、5歳児と過ごす1年がいちばん好きなのは変わっていなかったので。
編集部そこから、どう候補を絞りましたか。
時間を選べる働き方に絞ったら、公立保育園の非常勤と、近所の企業内保育園の2つが残りました。企業内保育園は乳児ばかりだったので、最後は公立の非常勤にしました。週4日、9時から15時の勤務で、幼児クラスに入っています。
編集部相談してみて、どうでしたか。
「保育園以外も見てみましょう」とは一度も言われなかったんです。私が書いた軸の表を見て、「それなら今と同じ認可の園で、時間だけ変えられますね」と言ってもらえて。非常勤だと年収がどれくらい下がるかも、先に数字で確かめてくれました。決めるのは私、という姿勢がありがたかったです。
保育を辞めるかどうかじゃなくて、時間をどうするかの問題だったんですね。
ひでこさん(仮名)
ひでこさんは年度末で退職し、4月から公立保育園の非常勤として4歳児クラスに入っています。勤務は週24時間ほどになり、母の通院の付き添いは、勤務のない平日にまとめられるようになりました。収入は下がりましたが、事前に家計と照らし合わせていたので、慌てることはなかったそうです。
このケースから持ち帰れるのは、職場タイプを大きく変えなくても解決する悩みがあるということです。変えたい軸が一つなら、ほかの軸は今のままにしておくほうが、これまでの経験もそのまま活かせます。
※相談で多く寄せられる状況をもとに再構成したモデルケースです。特定の個人ではなく、数値は一例です。
ひでこさんが最初に「保育園以外」まで探していたのは、変えたいものが整理できていなかったからです。軸ごとに「変えたい」「変えたくない」を決めるだけで、見るべき求人は何百件から十数件まで減りました。
06候補を絞ってから見学するまでの進め方
要点:4つの軸の書き出しから見学・応募までは、1か月ほどを目安に進めると焦らずに済みます。タイプの比較は机の上で、働き方の確認は現場で、と役割を分けるのがこつです。
図6
今の不満を一つに絞る
人間関係・仕事量・給料・時間のうち、いちばんつらいものを一つ選び、具体的な場面を書き出します
変えたい軸と変えたくない軸を分ける
制度・運営・規模・場所の4つについて、変えたいか、今のままでよいかを一つずつ決めます
候補のタイプを2〜3つに絞る
一覧と3つの質問を使い、変えたい軸が変わるタイプだけを残します
同じタイプの求人を3件ずつ読み比べる
開所時間、休日、行事、手当の書き方を並べ、同じタイプの中の差をつかみます
見学で働き方を確かめる
職員の人数、休憩の取り方、書類や行事の進め方を、実際の様子と質問で確かめます
比べて応募先を決める
最初に書き出した不満が、その職場で本当に変わるかを基準に応募先を決めます
見学で見るべきことは、タイプによって少しずつ違います。共通して確かめたい項目は園見学のチェックリストにまとめているので、見学の前に目を通しておくと、限られた時間で必要なことを聞きやすくなります。
求人票の「施設形態」は、中身を必ず確かめる
求人票の施設形態の書き方は、媒体によって違います。「保育園」とだけ書かれていて、実際には認可外の施設だったり、企業内保育の運営会社が複数の施設をまとめて募集していたりすることもあります。気になる求人があったら、「認可か認可外か」「運営しているのはどこか」「定員と職員数」「開所時間と休日」の4つを、面接の前に確かめておきましょう。
2024年4月からは、求人の段階で、就業場所や業務の「変更の範囲」も明示することになっています[9]。複数の施設を運営する法人では、入職後にどの施設へ異動する可能性があるかを、ここで確かめられます。タイプを選んで入職したのに、数年後に別のタイプの施設へ移ることもあり得るためです。
07職場タイプで選ぶときに、知っておきたい限界
要点:職場タイプは働き方の傾向を教えてくれますが、職場の良し悪しまでは決めてくれません。タイプへの期待が大きすぎると、入職後の「思っていたのと違う」につながります。
タイプの差より、同じタイプの中の差が大きいこともある
公立か私立か、大規模か小規模か、という違いよりも、園長の考え方や職員の定着ぶりのほうが働きやすさを左右することはよくあります。少し古いデータですが、平成29年の調査では、保育所の常勤保育士の離職率は公営5.9%、私営10.7%でした[10]。ただし、これはあくまで平均の数字です。私立でも長く勤める人が多い園はありますし、公立でも人間関係に悩む人はいます。タイプは入口の目安と考え、最後は一つひとつの園を見て判断してください。
「とにかく違うタイプへ」は、同じ悩みを繰り返しやすい
今の職場がつらいと、「とにかく今と違うところへ」と考えがちです。けれども、変えたい軸と関係のない変化は、悩みを解決してくれません。疲れているときほど、選ぶ前に一度立ち止まり、誰かに話しながら軸を整理する時間を取ってください。
合うタイプは、暮らしの変化とともに変わっていく
20代で大規模園の行事を楽しめた人が、子育てや家族の介護が始まった40代で、時間の決まった職場を求めるようになるのは自然なことです。一度選んだタイプに一生とどまる必要はありません。反対に、今は合わないと感じるタイプが、数年後にはちょうどよくなることもあります。職場タイプの選び方は「今の自分に合うもの」を選ぶ作業であり、何年かごとに見直してよいものだと考えてください。
一人で軸を書き出すのが難しいときは、保育の現場を知っている人と一緒に整理するのも一つの方法です。ほいくの相談室では、転職するかどうかを決めていない段階でも、「どの職場タイプが自分に合いそうか」という相談から受けています。4つの軸を一緒に並べるだけでも、探す範囲はぐっと狭まります。
よくある質問
職場タイプは、いくつくらい見学すればいいですか?
候補のタイプを2〜3つに絞り、それぞれ1〜2か所ずつ見学すると比べやすくなります。一つのタイプだけを見ると、そのタイプの特徴なのか、その園の特徴なのかが分かりにくいためです。見学の数を増やすより、同じ項目を同じように確かめることを意識してください。
経験のない職場タイプに転職しても大丈夫ですか?
保育の基本は共通しているので、経験は十分に活かせます。ただし、開所時間や行事の考え方、保護者との関わり方はタイプによって違うため、最初の数か月は戸惑うこともあります。面接で、入職後に誰が仕事を教えてくれるのかを確かめておくと安心です。
職場タイプを変えると、給料は下がりますか?
タイプだけでは決まりません。同じタイプでも、法人の給与規程や手当、賞与の実績によって大きく差があります。気になる求人では、月給の内訳と、昨年度の賞与の実績を必ず確かめてください。
保育園以外の職場に移ったら、保育園には戻れませんか?
戻ることはできます。学童保育や療育、企業内保育などで積んだ経験は、子どもとの関わり方や保護者支援の面で評価されることもあります。戻るときは、離れていた間に保育の制度や配置の基準が変わっていないかを確かめておくと、面接で落ち着いて話せます。
求人票に「保育園」としか書かれていないときは、どう確かめればいいですか?
応募の前に、認可か認可外か、運営しているのはどこか、定員と職員数はどれくらいかを問い合わせてください。施設の名前で自治体の公式サイトを調べると、認可の保育所の一覧に載っているかどうかを確かめられることもあります。答えがあいまいなまま選考が進む場合は、慎重に考えてください。
転職するか決めていなくても、職場タイプを調べておく意味はありますか?
あります。どのタイプなら今の悩みが変わりそうかが分かると、「今の園でできること」と「環境を変えないと難しいこと」の区別がつきやすくなります。今の園で働き続ける場合も、次の面談で何を相談するかを決める材料になります。
参考にした資料
- こども家庭庁「保育所等関連状況取りまとめ(令和8年4月1日)」
- 児童福祉施設の設備及び運営に関する基準 第33条第2項
- 児童福祉法 第59条の2
- こども家庭庁通知「認可外保育施設に対する指導監督の実施について」(2024年3月29日 こ成保第206号)
- こども家庭庁「基礎資料(保育士・幼稚園教諭等の処遇改善)」令和8年3月版
- こども家庭庁「企業主導型保育事業の実施状況について【速報版】」
- 家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準 第29・31・34・35条
- 東京都福祉局「令和4年度東京都保育士実態調査 調査結果の概要」
- 厚生労働省「職業安定法施行規則改正|労働条件明示等」
- 厚労省「保育士の現状と主な取組」(2020年8月24日 検討会参考資料1)
※制度や数値は記事の更新時点で公的機関の資料により確認しています。最新の情報は各リンク先でご確認ください。