保育士のサービス残業は当たり前じゃない|記録と相談先

「タイムカード、先に押しておいてね」。入職して最初の週、先輩にそう言われて、意味がよく分からないままカードを差し込んだ。17時半の打刻のあと、職員室で週案を書き、保育室の掃除をして、園を出たのは19時過ぎ。それが「この園のふつう」だと知ったのは、もう少しあとのことでした。

保育の現場には、サービス残業を当たり前として受け入れてしまう空気があります。子どものための準備だから、みんなやっているから、園の経営が苦しいと聞いているから。理由はいくつもありますが、どれも、働いた時間に賃金が支払われなくてよい理由にはなりません。

この記事では、保育士のサービス残業がなぜ生まれ、法律ではどう考えられているのかを整理したうえで、残業代が出ないときにまずやるべき記録の付け方、請求するときの考え方と時効、無料で使える相談先を順に紹介します。すぐに園と争うためではなく、自分の働いた時間を自分で守るための準備として読んでください。

この記事でわかること

  • 「みんなやっている」サービス残業が保育園で生まれる仕組み
  • 残業代のルール(法定労働時間・36協定・割増賃金)の基本
  • 後から困らない労働時間の記録の付け方
  • 残業代を請求するときの手順と、時効の考え方
  • 無料で相談できる公的な窓口と、その使い分け

結論

保育士のサービス残業は、園の慣習としてどれだけ広がっていても当たり前ではありません。法律では、1日8時間・週40時間を超えて働かせるには36協定が必要で、時間外労働には25%以上の割増賃金を支払う決まりがあります[1][2][3]。残業代が出ていないと感じたら、まず実際の出勤・退勤時刻と業務内容を毎日記録してください。賃金を請求できる期間には時効(現在は3年)があるため[4]、記録がたまったら早めに、総合労働相談コーナーなどの無料窓口へ記録を持って相談するのが確実な一歩です[5]。

01「みんなやっている」サービス残業が生まれる仕組み

要点:保育園のサービス残業は、定時の打刻、申請しにくい雰囲気、「自主的な準備」という扱い、早出の見落としなど、いくつかの決まった形で生まれます。自分の園がどの形に当てはまるかを知ると、記録すべき時間が分かります。

図1

  • 1

    定時で打刻してから働く

    タイムカードを先に押し、そのあとに書類や片付けを続ける。記録上は残業ゼロになる

  • 2

    残業を申請しにくい

    申請の仕組みはあっても、「誰も出していない」「要領が悪いと思われる」と感じて出せない

  • 3

    「自主的な準備」扱い

    行事の準備や制作物づくりを、園が業務ではなく本人の熱意として扱う

  • 4

    早出が数えられていない

    早番の前に来て保育室を整える、朝の打ち合わせに出るなど、始業前の時間が記録されない

  • 5

    固定残業代で説明される

    「残業代は手当に含まれている」と言われ、実際に何時間分なのかが分からない

図1 保育園でよく見られるサービス残業の5つの形

いちばん多いのは、一つ目と二つ目の組み合わせです。申請する仕組みは就業規則に書いてあっても、実際に申請している人がいない。新しく入った人は、先輩に合わせて定時で打刻するようになります。こうして、誰も「残業するな」とも「残業代を払わない」とも言っていないのに、サービス残業が当たり前になっていきます。

早出も見落とされがちです。7時の早番に入るために6時40分に来て、鍵を開け、換気をし、保育室の暖房を入れる。その20分は、毎日続けば月に7時間近くになります。「早く来るのは自分の都合」と思い込んでいる人も多いのですが、業務に必要な準備をしているのであれば、労働時間にあたる可能性があります。迷う場合でも、記録だけは残しておきましょう。

「子どものため」という言葉が、残業を見えなくする

保育のサービス残業を支えているのは、制度よりも気持ちの問題かもしれません。「子どもの喜ぶ顔が見たいから」「保護者に喜んでほしいから」。そう思って残った時間を、お金に換えて考えることに抵抗を感じる人は多いはずです。

けれど、気持ちから始めた仕事でも、それが園の保育として必要な業務であることに変わりはありません。そして、その時間が記録されないままだと、園は「この仕事量でも定時で回っている」と判断し、次の年も同じ量の仕事を求めます。自分の時間を正しく記録することは、後輩や同僚の働き方を守ることにもつながります。

固定残業代は、中身を確かめる

固定残業代については、求人の段階でその内訳を示すことがルールになっています[6]。何時間分の残業代が、いくら含まれているのか。労働条件通知書や給与明細で確かめられないときは、園に説明を求めてよい項目です。明細のどこを見ればよいかは保育士の給与明細の見方で詳しく紹介しています。

02残業代のルールを、3つだけ押さえる

要点:残業代について最低限知っておきたいのは、法定労働時間、36協定、割増賃金の3つです。これだけ分かれば、自分の残業がどう扱われるべきかの見当がつきます。

ルール1:法定労働時間は1日8時間・週40時間

労働時間は、原則として1日8時間・1週40時間までと決められています[1]。これを超えた時間が、法律上の時間外労働です。たとえば7時から16時まで、休憩1時間をはさんで8時間働く早番の日に、さらに17時まで残れば、その1時間は時間外労働になります。

ルール2:残業させるには36協定が必要

時間外労働や休日労働をさせるには、園と、職員の過半数で組織する労働組合(ない場合は過半数を代表する人)との間で書面の協定(36協定)を結び、労働基準監督署に届け出る必要があります。協定があっても、時間外労働の上限は原則として月45時間・年360時間です[2]。自分の園の36協定がどうなっているかは、園に確認できます。

ルール3:時間外労働には割増賃金が付く

時間外労働には、通常の賃金に一定の率を上乗せした割増賃金を支払うことになっています。主な率は次のとおりです。

図2

働いた時間割増率保育園で当てはまりそうな場面
時間外労働25%以上[3]遅番のあとに、行事の準備で残った時間
1か月60時間を超える時間外労働50%以上[7]行事が重なった月の、60時間を超えた部分
法定休日の労働35%以上[3]法定休日に出勤して、運動会の準備をした時間
深夜(22時〜5時)の労働25%以上[3]夜遅くまで発表会の準備が続いた時間
時間外労働が深夜に及んだ場合50%以上[3]残業が22時を過ぎた部分
図2 割増賃金の率(法律で決められた最低ライン)

60時間を超える時間外労働の割増率については、中小企業への適用の猶予が2023年4月1日に終わり、現在は規模にかかわらず適用されています[7]。小さな園だから関係ない、ということはありません。

03後から困らない、労働時間の記録の付け方

要点:残業代について相談したり請求したりするとき、いちばん頼りになるのは、毎日の具体的な記録です。始業・終業の実際の時刻、休憩の実際の長さ、していた業務を、その日のうちに書き残します。

タイムカードが定時で押されているとき、実際に働いた時間を示せるのは自分の記録だけです。記録は、あとから思い出して書くより、その日のうちに書いたもののほうが信用されやすくなります。手帳に手書きでも、スマートフォンのメモでもかまいません。

図3

  • 日付と曜日、その日のシフト(早番・中番・遅番など)シフトと実際の時刻を比べると、どこで時間が延びたかが分かります
  • 園に着いた時刻と、実際に仕事を始めた時刻早出の準備や朝の打ち合わせを数えるために必要です
  • タイムカードを押した時刻記録上の時刻と実際の時刻の差が、記録に残らない残業の時間になります
  • 実際に園を出た時刻打刻のあとに働いた時間を示す、いちばん大事な記録です
  • 実際に取れた休憩の長さ休憩が取れなかった時間も、働いた時間を考える材料になります
  • 残っていた間にした業務週案、個人記録、行事準備など、業務だったことを示します
  • 誰の指示か、誰と一緒だったか園が残業を知っていたかどうかを示す手がかりになります
図3 毎日の記録に残すこと

記録を補う材料として、園を出るときに家族へ送る「今から帰る」のメッセージ、帰り道の交通系ICカードの利用履歴、パソコンで作った書類の保存時刻なども役に立つことがあります。ただし、子どもの写真や名前が写った書類を撮影して持ち出すことはやめてください。個人情報の持ち出しは、それ自体がトラブルのもとになります。

記録は1日分では弱くても、1か月、3か月とたまるほど重みを増します。完璧な記録を目指すより、毎日1行でも続けることを優先しましょう。忘れた日は、空白のままにしておきます。あとから推測で埋めると、記録全体の信用を下げてしまうからです。

給与明細と並べて、毎月見比べる

給料日には、その月の記録と給与明細を並べてみてください。明細に残業手当の欄があるか、あるなら何時間分として計算されているか。記録の合計と明細の時間がずれていれば、その差が支払われていない可能性のある時間です。毎月この作業を続けると、ずれが一時的なものか、毎月続いているものかが分かります。

04残業代を請求するときの考え方と手順

要点:残業代の請求は、いきなり争うものではありません。給与明細と就業規則で今の扱いを確かめ、記録をもとに園に確認し、それでも解決しないときに公的な窓口や専門家を頼る、という順番で進めます。

図4

  1. 今の扱いを確かめる

    労働条件通知書、就業規則、給与明細で、所定労働時間、残業の申請方法、固定残業代の有無と内訳を確認します

  2. 記録をためる

    実際の出勤・退勤時刻、休憩、業務内容を、少なくとも1〜3か月分、毎日書き残します

  3. おおよその時間を出す

    記録から、1か月にどれだけ時間外に働いたかを合計します。金額の計算は窓口で一緒に確認できます

  4. 園に確認・申し出る

    主任や園長に記録を示して、残業の扱いを確認します。申請の仕組みがあるなら、まず申請してみます

  5. 公的な窓口に相談する

    解決しない、話を聞いてもらえないときは、総合労働相談コーナーなどに記録を持って相談します

  6. あっせんや専門家を検討する

    話し合いで解決しないときは、労働局のあっせんや、弁護士への相談を考えます

図4 未払いの残業代を確かめて請求するまで

金額のおおまかなイメージ

どのくらいの金額になるのかが分かると、動くかどうかを考えやすくなります。たとえば、時間あたりの賃金が1,500円の人が、時間外労働を月に20時間していたとします。時間外労働の割増率は25%以上なので[3]、1時間あたり1,875円以上、20時間で37,500円以上が、本来支払われるべき金額の目安になります。これが1年続けば、45万円を超えます。実際の計算では、どの手当を時間あたりの賃金に含めるかなどで金額が変わるため、正確な額は相談窓口で確認してください。

時効があるので、記録は早めに

賃金を請求できる期間には時効があります。2020年4月1日以降に支払期日が来る賃金については、時効は5年とされましたが、当分の間は3年とされています[4]。ずっと前のサービス残業は、記録があっても請求できなくなっていることがあります。気づいた時点で記録を始め、迷っている間にも時間が過ぎていくことを覚えておいてください。

園と話し合うときの切り出し方

最初から「未払いです」と切り出すより、「残業の申請の仕方を確認したい」「記録上の時間と実際の時間が違っているので、どう扱えばよいか教えてほしい」と、確認の形で始めるほうが話し合いになりやすくなります。園長が実態を把握していなかった、ということもあります。相手の出方を見ながら、記録をもとに話を進めます。

退職を考えているときに知っておきたいこと

退職のときに未払いの残業代を清算したいと考える人もいます。この場合、退職代行業者に残業代の交渉まで任せることには注意が必要です。弁護士でない者が報酬を得る目的で法律事務を扱うことは法律で禁じられており[8]、東京弁護士会は、退職代行業者が残業代などについて本人に代わって会社と交渉することを、非弁行為にあたる事例として注意を呼びかけています[9]。残業代の交渉が必要なら、弁護士か公的な窓口を頼りましょう。

また、離職の直前6か月間に一定の時間を超える時間外労働があった場合や、賃金の3分の1を超える額が支払期日までに支払われなかった場合などは、雇用保険で「特定受給資格者」と判断されることがあります[10]。退職を考えているなら、毎日の記録はこの点でも役に立ちます。失業保険の手続きは保育士が退職したときの失業保険で確認してください。

05無料で使える相談先と、その使い分け

要点:残業代の相談は、総合労働相談コーナー、労働条件相談「ほっとライン」、労働局の助言・指導やあっせんなど、無料で使える公的な窓口から始められます。相談したい時間帯や、どこまで踏み込みたいかで使い分けます。

図5

相談先特徴向いている場面
総合労働相談コーナー労働局や労働基準監督署などにあり、無料・予約不要で面談か電話で相談できる[5]記録を見せながら、自分の状況を具体的に相談したいとき
労働条件相談「ほっとライン」0120-811-610。平日17時〜22時、土日祝9時〜21時。無料・匿名で相談できる[11]仕事のあとや休日に、まず電話で話を聞いてほしいとき
労働局の助言・指導、あっせん都道府県労働局長による助言・指導や、紛争調整委員会によるあっせんを無料で利用できる[12]園との話し合いで解決せず、第三者に間に入ってほしいとき
弁護士法律にもとづいて、請求や交渉を本人に代わって行える金額が大きい、園が話し合いに応じないなど、法的な手続きが必要なとき
図5 残業代の悩みで使える相談先

どこに相談するか迷ったら、まずは総合労働相談コーナーか、ほっとラインで構いません。相談することと、助言・指導やあっせんを申し込むことは別の段階なので、まずは状況を話して、次に何ができるかを整理する場として使えます。窓口ごとの違いは労働条件の相談窓口の選び方でも詳しく紹介しています。

相談に行くときは、記録の手帳やメモ、給与明細、労働条件通知書、就業規則の写し(手元にあれば)を持っていくと、話が具体的になります。「何を聞きたいか」を一行でメモしておくと、緊張していても伝えたいことを落としません。

06相談事例:記録を3か月付けて、申請できる園に変わった

要点:ここでは、誰も残業を申請していなかった園で、記録をもとに申請の仕組みを動かしたモデルケースを紹介します。どの順番で、誰に、何を伝えたかを追ってみてください。

「誰も申請していない」園で、最初の一人になった

相談事例(モデルケース)

お名前
まなかさん(仮名)・29歳
保育士歴
8年目
勤務先
地方都市の社会福祉法人の認可保育園(定員約80名)、0歳児クラス担任
変化
記録に残らない残業 月約22時間 → ほぼなし(申請して支払われる形に)

編集部どんな働き方をしていましたか。

まなかさん

0歳児は個別の記録が多くて、連絡帳も毎日びっしり書くんです。17時半に打刻して、そこから1時間くらい書類。早番の日は6時40分に来て、ミルクの準備や室温の確認をしていました。それが8年、ずっと普通だったんですよね。

編集部何がきっかけで、おかしいと思ったのですか。

まなかさん

実家の母に「それ、お給料出てるの?」って聞かれて、答えられなかったんです。就業規則を出してみたら、残業は事前申請って書いてあって。申請用紙も職員室の棚にちゃんとあった。ただ、誰も出していなかっただけでした。

編集部そこからどう動きましたか。

まなかさん

まず3か月、手帳に毎日の時刻と、何をしていたかを書きました。合計したら、記録に残っていない時間が月に22時間くらい。いきなり園長に言う勇気はなくて、ほっとラインに電話してみたんです。夜の9時ごろでしたけど、つながりました。記録の付け方はそれでいいこと、まず園の申請の仕組みを使ってみる方法があることを聞いて、肩の力が抜けました。

編集部園の反応はどうでしたか。

まなかさん

主任に「明日から残業の申請を出したいので、出し方を教えてください」って聞きました。ちょっと驚かれたけど、ちゃんと受け付けてくれて。1か月くらいすると、ほかの先生も少しずつ出すようになって、園長が職員会議で「残った時間はきちんと申請してください」って言ってくれたんです。

「誰もやっていない」と「やってはいけない」は、まったく別のことだったんですね。

まなかさん(仮名)

まなかさんの園では、その後、退勤の打刻を実際に園を出る時刻に合わせるよう全職員に周知され、残業は申請して支払われる形に変わりました。あわせて0歳児クラスの連絡帳の書式を見直し、残業そのものも月10時間ほどに減っています。過去の分については、記録をもとに園と話し合いを続けているそうです。

このケースで大きかったのは、記録を3か月分ためてから動いたことと、最初の一歩を「請求」ではなく「申請の仕方を聞く」にしたことです。外の窓口で話を聞いてもらい、自分の考えが的外れではないと確かめられたことも、背中を押しました。

※相談で多く寄せられる状況をもとに再構成したモデルケースです。特定の個人ではなく、数値は一例です。

図6

記録を始める前申請を始めた半年後

記録に残らない残業(月)

約22時間
ほぼなし

残業全体(月)

約22時間
約10時間

申請している職員

0人
ほぼ全員
図6 まなかさんの残業の扱いの変化

07動く前に知っておきたい、正直な注意点

要点:サービス残業をなくす動きには、職場の空気が一時的にぎくしゃくする、記録がないと過去の分は取り戻しにくい、といった現実もあります。それを知ったうえで、自分が何を守りたいかで動き方を選んでください。

園の中の空気が、しばらく変わることがある

最初に申請を出す人は、目立ちます。「あの人だけ残業代をもらっている」と見られるのではないか、という不安はもっともです。ただ、労働局の個別労働紛争解決制度を利用したことを理由に不利益な取扱いをすることは、法律で禁止されています[12]。不安なときは、一人で動く前に、同じ悩みを持つ同僚と一緒に申請の仕方を確認する、外の窓口で先に相談しておく、といった準備をしておくと気持ちが楽になります。

過去の分を全部取り戻せるとは限らない

記録がない期間の残業を後から示すのは簡単ではありません。時効もあります[4]。だからこそ、今日から記録を付け始めることに意味があります。過去を取り戻すことより、これからの働いた時間を正しく扱ってもらうことを目標にすると、動き出しやすくなります。

また、残業代が支払われるようになっても、仕事の量そのものが減るとは限りません。お金の問題が片付いたあとに、「そもそもこの量は勤務時間内に収まるのか」という問いが残ることもあります。残業代の請求は、働き方を見直す入り口の一つと考えておくと、次の一手を考えやすくなります。

体と気持ちが限界なら、請求より先に休む

サービス残業が長く続くと、疲れがたまり、判断する力そのものが落ちていきます。眠れない、朝になると涙が出る、といった状態なら、請求の準備より先に休むことと受診を優先してください。働く人の心の悩みは「こころの耳電話相談」(0120-565-455)でも相談できます[13]。残業そのものを減らす方法は保育士の残業が多い理由と減らし方に、持ち帰り仕事の扱いは持ち帰り仕事がつらいときの考え方にまとめています。

園の外で、保育の働き方を知っている人に話を聞いてもらいたいときは、ほいくの相談室も使ってください。今の園で続けるか、職場を変えるかを決めていない段階でも、記録の整理や、どこに相談すればいいかを一緒に考えられます。

よくある質問

「残業は自主的なものだから残業代は出ない」と言われました。本当ですか?

本当に本人の自由な判断で残っているのか、業務として必要で園もそれを知っていたのかによって、考え方が変わります。行事の準備や書類など、業務に必要な作業をしていたなら、自主的という言葉だけで片付けられるものではありません。記録を持って、総合労働相談コーナーなどで確認してみてください[5]。

固定残業代が出ていれば、どれだけ残業しても追加はないのですか?

固定残業代は、何時間分の残業代がいくら含まれているのかを確かめることが出発点です。求人の段階でもその内訳を示すことになっています[6]。含まれている時間を超えて働いた場合の扱いは、労働条件通知書や就業規則を確認し、分からなければ相談窓口で聞いてください。

パートでもサービス残業の相談はできますか?

できます。法定労働時間や割増賃金のルールは、正社員だけでなくパートで働く人にも関係します。決められた時間を過ぎて働いた分が払われていないなら、雇用形態にかかわらず記録を付けて相談してください。

園に残業代のことを言ったら、辞めさせられないか心配です。

労働局の個別労働紛争解決制度を利用したことを理由とする不利益な取扱いは、法律で禁止されています[12]。それでも不安が大きいときは、園に話す前に総合労働相談コーナーやほっとラインで相談し、どう進めるかを一緒に考えてもらうと安心です。

残業代を請求したいのですが、弁護士に頼むほどではない気がします。

まずは無料の公的な窓口で相談し、記録の付け方や請求の見通しを確認するところから始めて大丈夫です。話し合いで解決しない場合は、労働局のあっせんという、無料で第三者に間に入ってもらう方法もあります[12]。

休憩時間に連絡帳を書いていた分は、どう考えればいいですか?

休憩は、労働時間の途中に与えられ、自由に利用できる時間であることが法律で決められています[14]。休憩のはずの時間に連絡帳を書いていたなら、その時間も記録に残しておきましょう。休憩の考え方は休憩が取れないときのルールと頼み方で詳しく整理しています。

参考にした資料

  1. 厚生労働省 FAQ「法定労働時間と割増賃金について教えてください。」
  2. 確かめよう労働条件「時間外・休日労働と割増賃金」
  3. 厚生労働省 FAQ「法定労働時間と割増賃金について教えてください。」
  4. 確かめよう労働条件Q&A「賃金請求権の消滅時効は…」
  5. 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」
  6. 厚生労働省 求職者向けリーフレット(2024年4月)
  7. 確かめよう労働条件「時間外・休日労働と割増賃金」
  8. e-Gov法令検索「弁護士法」
  9. 東京弁護士会「退職代行サービスと弁護士法違反に関する注意喚起」
  10. ハローワーク「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準」
  11. 確かめよう労働条件「労働条件相談ほっとライン」
  12. 厚生労働省「個別労働紛争解決制度」
  13. こころの耳「働く人の『こころの耳電話相談』」
  14. e-Gov法令検索「労働基準法」

※制度や数値は記事の更新時点で公的機関の資料により確認しています。最新の情報は各リンク先でご確認ください。

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