3月の職員会議で、来年度の係分担表が配られます。4歳児クラスの担任、運動会のリーダー、実習生の担当、新人の指導係。上から順に目で追うと、自分の名前が4か所に並んでいる。誰かが「〇〇先生がいるから安心だね」と言い、周りがうなずく。笑って返しながら、心の中では「もう辞めたい」とつぶやいている。
10年以上続けてきた人の「辞めたい」は、新人の頃のそれとは違います。日々の保育は一通り回せるし、保護者対応で慌てることも減りました。それなのに、任される役割だけが年々増え、体力は少しずつ落ち、給料は思ったほど上がらない。理由を聞かれても一言で答えられないのは、いくつもの重さが少しずつ積み重なってきたからです。
この記事は、10年目前後から20年、30年と経験を重ねてきた保育士の方に向けたまとめです。辞めるか続けるかの二択ではなく、経験を活かしたまま「働き方を変える」道まで含めて整理しました。年代別や役職別の詳しい話は、本文の中から個別の記事へ案内しています。
この記事でわかること
- 10年目以降の保育士が「辞めたい」と感じやすい5つの重さと、その見分け方
- 辞める以外も含めた6つの選択肢と、それぞれで変わること・変わらないこと
- 経験年数が採用や園の運営でどう見られているか(公的な資料で確認)
- 今の園で試せる交渉と、転職する場合に動き出す順番
結論
ベテラン保育士が辞めたいと感じたときは、まず「保育そのものがつらいのか」「保育の上に乗った役割や条件がつらいのか」を分けて考えます。10年目以降の辞めたい気持ちは、行事や後輩指導などの役割の偏り、体力の変化、給与の頭打ちが重なって生まれることが多く、子どもと関わる仕事は続けたい人も少なくありません。その場合は、役割を減らす交渉、法人内の異動、園の規模や園種を変える転職、雇用形態の見直しといった選択肢から比べるのが近道です。保育士の有効求人倍率は全職種平均を大きく上回っており[1]、積み重ねた経験は次の職場を選ぶときの強みになります。
0110年目を過ぎた「辞めたい」は、5つの重さが重なっている
要点:ベテランの辞めたい気持ちは、役割の積み重なり、体力の変化、給与の頭打ち、保育観のずれ、暮らしの変化の5つが重なって生まれることがほとんどです。どれがいちばん重いかで、取るべき手が変わります。
新人の頃の「辞めたい」は、仕事を覚えられない、先輩が怖い、といった目の前の困りごとが中心でした。経験を重ねると、そうした悩みは減っていきます。その代わりに増えるのが、「できる人」として期待されることの重さです。
図1
- 1
役割の積み重なり
担任に加えて行事リーダー、新人指導、実習生担当、各種の係。毎年少しずつ増え、減ることはほとんどない
- 2
体力の変化
早番・遅番の連続や、運動会前の準備がこたえるようになる。腰や膝の不調を抱えながら働く人もいる
- 3
給与の頭打ち
昇給の幅が小さくなり、役割の増え方と給料の増え方が釣り合わないと感じる
- 4
保育観のずれ
園長の交代や方針の変更で、自分が大事にしてきた保育と園の方向がずれてくる
- 5
暮らしの変化
子育て、親の介護、自分の体調。仕事の外で背負うものが増え、今の働き方が合わなくなる
「保育が嫌になった」のか、「保育以外が重い」のか
5つを眺めて、いちばん重いものに印をつけてみてください。多くの人は、子どもと過ごす時間そのものには印をつけません。東京都の調査でも、現役の保育士の78.7%が「今後も保育士として働き続けたい」と答えています[2]。辞めたいのは保育ではなく、保育の周りに積み上がったものかもしれない。この区別がつくだけで、選べる道はぐっと増えます。
反対に、子どもの前に立つのがつらい、保育の場面を思い出すだけで気が重い、という場合は、保育以外の仕事も含めて考える時期かもしれません。どちらが正しいということはありません。大事なのは、自分がどちら側にいるのかを知っておくことです。
体力の重さは、根性ではなく配置で軽くする
「若い頃のように動けない」という悩みは、ベテランほど口に出しにくいものです。ただ、体力の問題は気持ちの持ちようでは解決しません。担当する年齢、早番・遅番の回数、行事の持ち方を変えるだけで、同じ保育士の仕事でも体への負担は大きく変わります。具体的な工夫は40代で体力的にきついと感じたときの働き方にまとめています。
暮らしの変化は、働き方を見直す正当な理由になる
子どもの進学、親の通院の付き添い、自分の更年期の不調。10年目を過ぎると、仕事の外の事情が働き方に影響し始めます。「家庭の都合で迷惑をかけられない」と無理を重ねる人もいますが、暮らしが変われば働き方を合わせるのは自然なことです。遅番に入れる回数、土曜保育の頻度、通勤にかけられる時間。今の生活で無理なくできる範囲を書き出しておくと、園と相談するときにも、次の職場を選ぶときにも、そのまま条件として使えます。
02ベテランの選択肢は「辞める」と「続ける」だけではない
要点:今の園で役割を減らす、法人内で異動する、規模や園種を変えて転職する、雇用形態を変える、資格を活かして保育園以外へ移る、保育以外の仕事に就く。この6つを並べて、「何を変えたくて、何を残したいか」で選びます。
経験が長い人ほど、「辞めるなら、次も同じような園で担任を」と考えがちです。それが合っている人もいますが、つらさの原因が園の規模や役割の多さにあるなら、同じ形の園に移っても数年後に同じ悩みが戻ってきます。
図2
| 選択肢 | 変わること | そのまま残ること | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 今の園で役割を減らす | 係やリーダーの数、勤務の偏り | 子ども・同僚・通勤 | 園の人間関係は悪くない人 |
| 法人内で異動する | 人間関係、園の規模、通勤 | 給与体系、勤続年数の扱い | 法人の方針には納得している人 |
| 規模や園種を変えて転職 | 園の方針、行事の量、役割の範囲 | 保育士として担任をする働き方 | 保育は好きだが今の園の形が合わない人 |
| 雇用形態を変える | 勤務時間、責任の範囲、収入 | 子どもと関わる仕事 | 体力や家庭の事情を優先したい人 |
| 資格を活かして保育園以外へ | 対象年齢、行事、勤務時間帯 | 保育の知識と経験 | 学童や児童発達支援などに関心がある人 |
| 保育以外の仕事へ | 仕事内容、働く時間、職場の文化 | 段取りや対人の力 | 保育から一度離れたい人 |
小さく変えるほど、失うものも少ない
表の上の方にある選択肢ほど、変わることが少ない代わりに、失うものも少なくなります。勤続年数に応じた手当や退職金の積み上げ、長く付き合ってきた保護者との関係、通い慣れた道。これらを手放さずに済むなら、それも立派な選び方です。
逆に、園の方針や園長との関係が根本から合わないなら、小さな調整では足りません。その場合は、規模や園種を変える転職まで視野を広げたほうが、結果的に早く楽になります。保育園以外で経験が活きる職場については、経験を活かせる転職先の選び方で詳しく紹介しています。
「働き方を変えたい」は、立派な転職理由になる
ベテランの方から「辞めたいほどではないけれど、このままの働き方は続けられない」という声をよく聞きます。それは、辞めたい気持ちが弱いのではなく、変えたいものがはっきりしている状態です。行事の量を減らしたい、乳児クラスに戻りたい、遅番を減らしたい。こうした希望は、面接でも前向きな理由として伝えられます。
03経験年数は、採用の場でどう見られているか
要点:保育士の求人は全職種平均を大きく上回る水準が続いており、経験のある保育士を求める園は少なくありません。経験年数そのものが、園の運営上の要件に関わる制度もあります。
「この年齢で転職なんて」とためらう人は多いのですが、公的な数字を見ると、保育士を探している園は多い状態が続いています。2026年7月の保育士の有効求人倍率は全国で2.80倍、全職種の平均は1.15倍でした[1]。東京都に限ると4.04倍です[3]。
図3
有効求人倍率は、仕事を探している人1人に対して求人がいくつあるかを示す数字です。ただし、年度の中でも時期によって上下し、地域によっても差があります。この数字は「どの園でも採用される」という意味ではなく、「経験者を探している園が多い」ことの目安として受け止めてください。
経験年数が、園の加算の要件になっている例
国が保育園に支払う運営費の仕組みにも、職員の経験年数が関わる部分があります。たとえば、処遇改善等加算の区分1は、職員の平均経験年数に応じて加算率が2〜12%の幅で決まります[4]。また、2025年4月から始まった1歳児の配置を手厚くするための加算では、要件の一つに「職員の平均経験年数10年以上」が入っています[5]。
これらは園に支払われるお金の仕組みであり、あなた個人の給料がこの数字で決まるわけではありません。それでも、経験を積んだ職員が長く働いてくれることが、園にとって意味のある状態だということは読み取れます。
見られるのは「年数」より「何を任されてきたか」
採用する側が知りたいのは、「12年目です」という数字そのものより、その12年で何をしてきたかです。乳児クラスを何年担当したか、行事の取りまとめを何回したか、新人を何人指導したか。数字で言える経験は、面接で強い説得力を持ちます。
- 例:0・1歳児クラスの担任を通算6年、うち3年は複数担任のリーダー
- 例:運動会と発表会の取りまとめを5回、職員10人ほどの分担表を作成
- 例:新卒の後輩を4人指導し、うち3人が3年以上勤務を続けている
このように書き出すと、自分では当たり前だと思っていたことが、外から見ると立派な実績だと気づくはずです。経験の伝え方は経験年数を転職で有利に伝える方法を参考にしてください。
04辞める前に、今の園で試せる3つの交渉
要点:役割を一つ手放す、勤務の偏りを直す、有給休暇を計画的に使う。この3つは、ベテランだからこそ通りやすい交渉です。一度も相談せずに辞めると、あとで「言えば変わったかもしれない」という思いが残ります。
長く勤めている人は、園長から見ても「いなくなると困る人」です。その立場は、負担を増やされる理由にもなりますが、負担を減らしてほしいと伝えるときの後ろ盾にもなります。
交渉1:役割を一つだけ手放す
全部を一度に減らしてほしいと言うと、相手も身構えます。「来年度は行事リーダーを外れたい。その代わり、新人の指導は続けます」のように、手放すものと続けるものをセットで伝えると、園長も配置を考えやすくなります。主任や副主任の役職そのものを降りたい場合は、伝え方に別の工夫がいります。主任を辞めたい・一般職に戻りたいときの伝え方で詳しく扱っています。
交渉2:勤務の偏りを数字で見せる
早番や遅番がベテランに集中している園は珍しくありません。1か月のシフト表を見返し、自分の早番・遅番の回数と、ほかの職員の回数を並べてみてください。「先月は遅番が9回でした。月6回までにしてもらえませんか」と数字で伝えると、感情的な訴えに聞こえにくくなります。
交渉3:有給休暇を「使い切る前提」で予定に入れる
年次有給休暇は、勤続6年6か月以上なら1年に20日付与されます[6]。ベテランほど、休みを取り残したまま年度を終えていることが多いのではないでしょうか。行事の少ない時期に、先に予定として申し出ておくと、園もシフトを組みやすくなります。休むことは、続けるための手段の一つです。
図4
- 1か月のシフト表と、自分の早番・遅番の回数勤務の偏りを数字で示せる
- 今担当している役割の一覧何を手放したいかを具体的に伝えられる
- 1週間の持ち帰り時間のメモ見えない仕事の量を共有できる
- 有給休暇の残日数休みを取る相談の根拠になる
- 続けたい役割と、手放したい役割交換条件として提案できる
- 話したい時期(年度の何月か)来年度の配置に間に合うよう逆算できる
交渉しても変わらなかったら
具体的に伝えても「今は人が足りないから」で終わることはあります。その場合は、2〜4週間ほど様子を見て、何が変わり、何が変わらなかったかをメモに残してください。変わらなかったという事実は、次の一歩を選ぶための確かな材料になります。一度きちんと伝えたうえで動くのであれば、「言わずに辞めた」という心残りも残りません。
05相談事例:12年目で「辞める」から「選び直す」へ
要点:ここでは、辞めたい気持ちを分けて考え、規模の違う園へ移ったモデルケースを紹介します。何を手放し、何を残したかに注目してください。
辞めたかったのは、保育の上に積み上がった役割だった
相談事例(モデルケース)
- お名前
- まおさん(仮名)・34歳
- 保育士歴
- 12年目(相談当時)
- 勤務先
- 私立の認可保育園(定員約120名)、4歳児クラス担任・行事リーダー・新人指導係
- 変化
- 担当する役割 4つ → 1つ/退勤 平均19時半 → 18時ごろ
編集部相談に来られたとき、どんな状態でしたか。
「もう保育士はいいかな」って本気で思ってました。事務の求人を見たりもして。でも、何がそんなに嫌なのかって聞かれると、答えられなかったんです。子どもは今でもかわいいし、保育の話をしていると楽しいのに。
編集部書き出してみて、何が見えてきましたか。
一番重かったのは行事でした。運動会と発表会のリーダーを5年続けてて、その時期は持ち帰りが週3日くらい。そこに新人さんの指導と実習生の担当が乗ってて。逆に、新卒から6年いた0・1歳児クラスの頃を思い出すと、全然つらくなかったんですよね。そこで初めて、乳児の保育がしたいんだって気づきました。
編集部転職先は、どう選んだのですか。
0〜2歳だけの小規模保育園を3園見学しました。行事の数、書類の量、職員が何人いるか。前は求人票のお給料ばかり見てたんですけど、今回は「何をしなくていいか」を見に行った感じです。相談した人に乳児クラスの話をしたら、細かいことを説明しなくてもすぐ通じたのも助かりました。
編集部迷いはありましたか。
ありました。大きい園で12年やってきたのに、小さい園に行くのは逃げなのかなって。でも相談したときに「転職しないで、今の園で交渉する道もありますよ」と言われて、かえって冷静になれたんです。押されなかったから、最後は自分で決めたと思えています。
辞めたかったのは保育じゃなくて、保育の上に積み上がった役割のほうでした。
まおさん(仮名)
まおさんは年度末で退職し、定員19名の小規模保育園で1歳児の担任になりました。行事は季節の小さな集まりが中心で、持ち帰りは月に1日あるかどうか。退勤はほぼ毎日18時ごろになったそうです。給与は前の園とほぼ同じ水準で、通勤は片道10分短くなりました。
このケースで大事なのは、転職先の規模ではありません。「辞めたい」を分けたことで、残したいもの(乳児の保育)と手放したいもの(行事リーダーと指導係)がはっきりしたことです。条件が言葉になっていたから、見学で見るべきところにも迷いませんでした。
※相談で多く寄せられる状況をもとに再構成したモデルケースです。特定の個人ではなく、数値は一例です。
図5
担当する役割
持ち帰り仕事
退勤時刻
有給休暇の取得
06動き出すときの手順と、伝える時期
要点:経験の書き出しから始めて、園内での相談、外の情報集め、条件の絞り込み、伝える時期の決定へと進みます。担任をしている人は、年度の区切りから逆算して動くと引き継ぎで慌てずに済みます。
図6
経験を書き出す
担当した年齢、任された役割、行事の回数、指導した人数を年ごとに書き出します
手放したいものと残したいものを分ける
書き出した中から、続けたい仕事とやめたい仕事に印をつけます
今の園で一度だけ具体的に相談する
手放したい役割を一つに絞り、続ける役割とセットで園長に伝えます
外の情報を集める
求人を見る、見学に行く、相談窓口で話すなど、今の園以外の様子を知ります
条件を3つに絞る
「行事の量」「通勤時間」「担当年齢」など、譲れない条件を3つまでにします
伝える時期を決める
就業規則で退職の申し出期限を確かめ、引き継ぎの期間を含めて逆算します
伝える時期は「法律」と「引き継ぎ」の両方で考える
期間の定めのない雇用であれば、法律上は退職の申し入れから2週間で雇用が終わります[7]。ただ、担任や行事の担当を持つベテランが急に抜けると、子どもにも同僚にも影響が大きくなります。就業規則で申し出の期限を確かめたうえで、引き継ぎの期間を含めて2〜3か月前には園長へ伝えておくと、来年度の配置にも間に合いやすくなります。残っている有給休暇の使い方も、伝える段階で一緒に相談しておくと安心です。詳しくは退職前の有給消化の進め方を参考にしてください。
お金の見通しも、加入期間で変わる
雇用保険に長く入っていた人は、自己都合で辞めた場合でも基本手当の給付日数が長くなります。被保険者であった期間が10年以上20年未満なら120日、20年以上なら150日です[8]。2025年4月以降に自己都合で離職した場合の給付制限は、原則1か月です[9]。次の職場が決まる前に辞めるなら、この日数も含めて生活費の見通しを立ててから動くと、焦って次を決めずに済みます。
在職中に動くか、辞めてから動くか
ベテランの転職は、在職中に情報を集め始めるほうが落ち着いて選べます。担任をしながらの見学は大変ですが、平日の午睡の時間帯に見学を受け付けている園もあり、有給休暇を半日使えば2園ほど回れます。一方で、心身が限界に近いなら、辞めて休むことを先にしてかまいません。どちらを選ぶにしても、「いつまでに、何を決めるか」を手帳に書いておくと、ずるずると迷い続ける時間を減らせます。
07長く続けてきた人だからこそ、気をつけたい2つのこと
要点:一つは、前の園のやり方を物差しにしすぎないこと。もう一つは、体と心のサインを経験で押し切らないことです。
1. 「前の園では」を、次の職場に持ち込みすぎない
12年、20年と一つの園にいると、そのやり方が自分の中の「普通」になります。転職先で違うやり方に出会ったとき、つい「前の園ではこうしていました」と口にしてしまう。善意からの言葉でも、受け取る側には否定に聞こえることがあります。最初の数か月は、知っていることも一度は「教えてください」と聞く側に回ると、なじむまでの時間がぐっと短くなります。経験は、信頼関係ができてから少しずつ出していけば十分です。
2. 体と心のサインは、経験では押し切れない
「これくらい、何度も乗り越えてきた」と思える人ほど、限界に気づくのが遅れがちです。眠れない日が続く、休みの日も園のことが頭から離れない、出勤前に動悸がする。そうしたサインが2週間以上続いているなら、働き方を考える前に医療機関を受診してください。働く人のための電話相談として、厚生労働省の「こころの耳電話相談」(0120-565-455、平日17時〜22時、土日10時〜16時)もあります[10]。
長く続けてきたからこそ、一人で決めて、一人で抱え込んでしまう人も多いものです。辞めるか、残るか、形を変えるか。迷っている段階で誰かに話すことは、決して早すぎません。ほいくの相談室では、転職するかどうかを決めていない段階でも、これまでの経験を一緒に整理するところから相談を受けています。
よくある質問
10年以上同じ園にいると、転職先でなじめないのではと不安です。
なじむまでに時間がかかるのは、経験の長さよりも「前の園のやり方」を基準にしてしまうことが原因の場合が多いです。最初の数か月は聞く側に回る、と決めておくだけでも違います。見学の段階で、職員の年齢層や中途で入った人の様子を聞いておくと、入職後の姿を想像しやすくなります。
ベテランが辞めると、園に迷惑がかかりませんか?
影響がまったくないとは言えませんが、職員の配置を考えるのは園の役割です。年度の区切りを選ぶ、引き継ぎの資料を残すなど、できることをしたうえで辞めるのであれば、自分を責める必要はありません。
30代・40代・50代で、考え方は変わりますか?
基本の手順は同じですが、重視する点が変わります。40代は家庭と体力の両方を見据えた条件選び、50代は雇用形態を含めた探し方の工夫がとくに効いてきます。40代の方は40代保育士の転職で失敗しないための準備もあわせて読んでみてください。
転職すると、給料は下がりますか?
園の給与体系や、前職の経験年数をどこまで給与に反映するかによって変わります。求人票の金額だけでなく、経験年数の加算の仕方、手当の内訳、賞与の支給実績を面接で確かめると、入職後の差を小さくできます。
役職につかないと、ベテランとして評価されないのでしょうか?
役職につくかどうかと、保育士としての評価は別のものです。担任として子どもと深く関わり続けることを選ぶベテランもいます。自分が力を発揮しやすい立場を選ぶことが、長く働くことにつながります。
辞めたい気持ちと、続けたい気持ちが毎日入れ替わります。
長く勤めた職場ほど、気持ちが揺れるのは自然なことです。1か月ほど、辞めたいと思った日と続けたいと思った日、その理由を手帳に一行ずつ書いてみてください。揺れ方に偏りが見えてきたら、それが判断の材料になります。
参考にした資料
- こども家庭庁「保育士有効求人倍率(R8.7)」(出典:厚労省 職業安定業務統計)
- 東京都福祉局「令和4年度東京都保育士実態調査 結果の概要」
- こども家庭庁「保育士有効求人倍率(R8.7)」
- こども家庭庁「基礎資料(保育士・幼稚園教諭等の処遇改善)」令和8年3月版
- こども家庭庁「基礎資料(保育提供体制の強化(職員配置基準の改善等))」令和8年3月版
- 厚生労働省 FAQ「年次有給休暇とはどのような制度ですか…」
- e-Gov法令検索「民法」
- ハローワーク「基本手当の所定給付日数」
- ハローワーク「よくあるご質問(雇用保険について)」
- こころの耳「働く人の『こころの耳電話相談』」
※制度や数値は記事の更新時点で公的機関の資料により確認しています。最新の情報は各リンク先でご確認ください。